貨物自動車運送事業法

   第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、貨物自動車運送事業の運営を適正かつ合理的なものとするとともに、貨物自動車運送に関するこの法律及びこの法律に基づく措置の遵守等を図るための民間団体等による自主的な活動を促進することにより、輸送の安全を確保するとともに、貨物自動車運送事業の健全な発達を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「貨物自動車運送事業」とは、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業及び貨物軽自動車運送事業をいう。
2  この法律において「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。次項及び第七項において同じ。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。
3  この法律において「特定貨物自動車運送事業」とは、特定の者の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業をいう。
4  この法律において「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業をいう。
5  この法律において「自動車」とは、道路運送車両法 (昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項 の自動車をいう。
6  この法律において「特別積合せ貨物運送」とは、一般貨物自動車運送事業として行う運送のうち、営業所その他の事業場(以下この項、第四条第二項及び第六条第四号において単に「事業場」という。)において集貨された貨物の仕分を行い、集貨された貨物を積み合わせて他の事業場に運送し、当該他の事業場において運送された貨物の配達に必要な仕分を行うものであって、これらの事業場の間における当該積合せ貨物の運送を定期的に行うものをいう。
7  この法律において「貨物自動車利用運送」とは、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を経営する者が他の一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を経営する者の行う運送(自動車を使用して行う貨物の運送に係るものに限る。)を利用してする貨物の運送をいう。

   第二章 貨物自動車運送事業

(一般貨物自動車運送事業の許可)
第三条  一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。

(許可の申請)
第四条  前条の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一  氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二  営業所の名称及び位置、事業の用に供する自動車(以下「事業用自動車」という。)の概要、特別積合せ貨物運送をするかどうかの別、貨物自動車利用運送を行うかどうかの別その他国土交通省令で定める事項に関する事業計画
2  前条の許可の申請をする者は、次の各号のいずれかに該当する場合にあっては、前項第二号に掲げる事項のほか、事業計画にそれぞれ当該各号に掲げる事項を併せて記載しなければならない。
一  特別積合せ貨物運送をしようとする場合 特別積合せ貨物運送に係る事業場の位置、当該事業場の積卸施設の概要、事業用自動車の運行系統及び運行回数その他国土交通省令で定める事項
二  貨物自動車利用運送を行おうとする場合 業務の範囲その他国土交通省令で定める事項
3  第一項の申請書には、事業用自動車の運行管理の体制その他の国土交通省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。

(欠格事由)
第五条  次の各号のいずれかに該当する者は、第三条の許可を受けることができない。
一  一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
二  一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の通知が到達した日(行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第十五条第一項 の通知が到達した日(同条第三項 により通知が到達したものとみなされた日を含む。)をいう。)前六十日以内にその法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。第四号において同じ。)であった者で当該取消しの日から二年を経過しないものを含む。)
三  営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人であって、その法定代理人が前二号又は次号のいずれかに該当するもの
四  法人であって、その役員のうちに前三号のいずれかに該当する者のあるもの

(許可の基準)
第六条  国土交通大臣は、第三条の許可の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、同条の許可をしてはならない。
一  その事業の計画が過労運転の防止その他輸送の安全を確保するため適切なものであること。
二  前号に掲げるもののほか、その事業の遂行上適切な計画を有するものであること。
三  その事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること。
四  特別積合せ貨物運送に係るものにあっては、事業場における必要な積卸施設の保有及び管理、事業用自動車の運転者の乗務の管理、積合せ貨物に係る紛失等の事故の防止その他特別積合せ貨物運送を安全かつ確実に実施するため特に必要となる事項に関し適切な計画を有するものであること。

(緊急調整措置)
第七条  国土交通大臣は、特定の地域において一般貨物自動車運送事業の供給輸送力(以下この条において単に「供給輸送力」という。)が輸送需要量に対し著しく過剰となっている場合であって、当該供給輸送力が更に増加することにより、第三条の許可を受けた者(以下「一般貨物自動車運送事業者」という。)であってその行う貨物の運送の全部又は大部分が当該特定の地域を発地又は着地とするものの相当部分について事業の継続が困難となると認めるときは、当該特定の地域を、期間を定めて緊急調整地域として指定することができる。
2  国土交通大臣は、特定の地域間において供給輸送力(特別積合せ貨物運送に係るものに限る。)が輸送需要量に対し著しく過剰となっている場合であって、当該供給輸送力が更に増加することにより、専ら当該特定の地域間において特別積合せ貨物運送を行っている一般貨物自動車運送事業者の相当部分について事業の継続が困難となり、かつ、当該特定の地域間における適正な特別積合せ貨物運送の実施が著しく困難となると認めるときは、当該特定の地域間を、期間を定めて緊急調整区間として指定することができる。
3  前二項の規定による指定は、告示によって行う。
4  国土交通大臣は、第一項の規定による緊急調整地域の指定がある場合において第三条の許可をするときは、当該許可に係る事業の範囲を当該緊急調整地域を発地又は着地としない貨物の運送に限定してこれをしなければならない。
5  国土交通大臣は、第二項の規定による緊急調整区間の指定がある場合において第三条の許可の申請に係る特別積合せ貨物運送の全部又は一部が当該緊急調整区間において行われるものであるときは、当該許可をしてはならない。
6  一般貨物自動車運送事業者は、第一項の規定による緊急調整地域の指定又は第二項の規定による緊急調整区間の指定がある場合には、それぞれ、当該緊急調整地域における供給輸送力又は当該緊急調整区間における特別積合せ貨物運送に係る供給輸送力を増加させるものとして国土交通省令で定める事業計画の変更をすることができない。

(事業計画)
第八条  一般貨物自動車運送事業者は、その業務を行う場合には、事業計画に定めるところに従わなければならない。
2  国土交通大臣は、一般貨物自動車運送事業者が前項の規定に違反していると認めるときは、当該一般貨物自動車運送事業者に対し、事業計画に従い業務を行うべきことを命ずることができる。

第九条  一般貨物自動車運送事業者は、事業計画の変更(第三項に規定するものを除く。)をしようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
2  第六条の規定は、前項の認可について準用する。
3  一般貨物自動車運送事業者は、事業用自動車に関する国土交通省令で定める事業計画の変更をするときは、あらかじめその旨を、国土交通省令で定める軽微な事項に関する事業計画の変更をしたときは、遅滞なくその旨を、国土交通大臣に届け出なければならない。

(運送約款)
第十条  一般貨物自動車運送事業者は、運送約款を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2  国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、次に掲げる基準によって、これをしなければならない。
一  荷主の正当な利益を害するおそれがないものであること。
二  少なくとも運賃及び料金の収受並びに一般貨物自動車運送事業者の責任に関する事項が明確に定められているものであること。
3  国土交通大臣が標準運送約款を定めて公示した場合(これを変更して公示した場合を含む。)において、一般貨物自動車運送事業者が、標準運送約款と同一の運送約款を定め、又は現に定めている運送約款を標準運送約款と同一のものに変更したときは、その運送約款については、第一項の規定による認可を受けたものとみなす。

(運賃及び料金等の掲示)
第十一条  一般貨物自動車運送事業者は、運賃及び料金(個人(事業として又は事業のために運送契約の当事者となる場合におけるものを除く。)を対象とするものに限る。)、運送約款その他国土交通省令で定める事項を主たる事務所その他の営業所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。

第十二条  削除
第十三条  削除
第十四条  削除

(輸送の安全性の向上)
第十五条  一般貨物自動車運送事業者は、輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚し、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならない。

(安全管理規程等)
第十六条  一般貨物自動車運送事業者(その事業の規模が国土交通省令で定める規模未満であるものを除く。以下この条において同じ。)は、安全管理規程を定め、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2  安全管理規程は、輸送の安全を確保するために一般貨物自動車運送事業者が遵守すべき次に掲げる事項に関し、国土交通省令で定めるところにより、必要な内容を定めたものでなければならない。
一  輸送の安全を確保するための事業の運営の方針に関する事項
二  輸送の安全を確保するための事業の実施及びその管理の体制に関する事項
三  輸送の安全を確保するための事業の実施及びその管理の方法に関する事項
四  安全統括管理者(一般貨物自動車運送事業者が、前三号に掲げる事項に関する業務を統括管理させるため、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあり、かつ、一般貨物自動車運送事業に関する一定の実務の経験その他の国土交通省令で定める要件を備える者のうちから選任する者をいう。以下同じ。)の選任に関する事項
3  国土交通大臣は、安全管理規程が前項の規定に適合しないと認めるときは、当該一般貨物自動車運送事業者に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
4  一般貨物自動車運送事業者は、安全統括管理者を選任しなければならない。
5  一般貨物自動車運送事業者は、安全統括管理者を選任し、又は解任したときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
6  一般貨物自動車運送事業者は、輸送の安全の確保に関し、安全統括管理者のその職務を行う上での意見を尊重しなければならない。
7  国土交通大臣は、安全統括管理者がその職務を怠った場合であって、当該安全統括管理者が引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、一般貨物自動車運送事業者に対し、当該安全統括管理者を解任すべきことを命ずることができる。

(輸送の安全)
第十七条  一般貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の数、荷役その他の事業用自動車の運転に附帯する作業の状況等に応じて必要となる員数の運転者及びその他の従業員の確保、事業用自動車の運転者がその休憩又は睡眠のために利用することができる施設の整備、事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定その他事業用自動車の運転者の過労運転を防止するために必要な措置を講じなければならない。
2  一般貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の最大積載量を超える積載をすることとなる運送(以下「過積載による運送」という。)の引受け、過積載による運送を前提とする事業用自動車の運行計画の作成及び事業用自動車の運転者その他の従業員に対する過積載による運送の指示をしてはならない。
3  前二項に規定するもののほか、一般貨物自動車運送事業者は、輸送の安全を確保するため、国土交通省令で定める事項を遵守しなければならない。
4  事業用自動車の運転者及び運転の補助に従事する従業員は、運行の安全を確保するため、国土交通省令で定める事項を遵守しなければならない。

(運行管理者)
第十八条  一般貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるため、国土交通省令で定めるところにより、運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、運行管理者を選任しなければならない。
2  前項の運行管理者の業務の範囲は、国土交通省令で定める。
3  一般貨物自動車運送事業者は、第一項の規定により運行管理者を選任したときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。

(運行管理者資格者証)
第十九条  国土交通大臣は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、運行管理者資格者証を交付する。
一  運行管理者試験に合格した者
二  事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について国土交通省令で定める一定の実務の経験その他の要件を備える者
2  国土交通大臣は、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する者に対しては、運行管理者資格者証の交付を行わないことができる。
一  次条の規定により運行管理者資格者証の返納を命ぜられ、その日から二年を経過しない者
二  この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反し、この法律の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
3  運行管理者資格者証の交付に関する手続的事項は、国土交通省令で定める。

(運行管理者資格者証の返納)
第二十条  国土交通大臣は、運行管理者資格者証の交付を受けている者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、その運行管理者資格者証の返納を命ずることができる。

(運行管理者試験)
第二十一条  運行管理者試験は、運行管理者の業務に関し必要な知識及び能力について国土交通大臣が行う。
2  運行管理者試験は、国土交通省令で定める実務の経験を有する者でなければ、受けることができない。
3  運行管理者試験の試験科目、受験手続その他試験の実施細目は、国土交通省令で定める。

(運行管理者等の義務)
第二十二条  運行管理者は、誠実にその業務を行わなければならない。
2  一般貨物自動車運送事業者は、運行管理者に対し、第十八条第二項の国土交通省令で定める業務を行うため必要な権限を与えなければならない。
3  一般貨物自動車運送事業者は、運行管理者がその業務として行う助言を尊重しなければならず、事業用自動車の運転者その他の従業員は、運行管理者がその業務として行う指導に従わなければならない。

(輸送の安全の確保を阻害する行為の禁止)
第二十二条の二  一般貨物自動車運送事業者は、貨物自動車利用運送を行う場合にあっては、その利用する運送を行う一般貨物自動車運送事業者又は第三十五条第一項の許可を受けた者(以下「特定貨物自動車運送事業者」という。)が第十五条、第十六条第一項、第四項若しくは第六項、第十七条第一項から第三項まで、第十八条第一項若しくは前条第二項若しくは第三項の規定又は安全管理規程を遵守することにより輸送の安全を確保することを阻害する行為をしてはならない。

(輸送の安全確保の命令)
第二十三条  国土交通大臣は、一般貨物自動車運送事業者が、第十六条第一項、第四項若しくは第六項、第十七条第一項から第三項まで、第十八条第一項、第二十二条第二項若しくは第三項若しくは前条の規定又は安全管理規程を遵守していないため輸送の安全が確保されていないと認めるときは、当該一般貨物自動車運送事業者に対し、必要な員数の運転者の確保、事業用自動車の運行計画の改善、運行管理者に対する必要な権限の付与、貨物自動車利用運送を行う場合におけるその利用する運送を行う一般貨物自動車運送事業者又は特定貨物自動車運送事業者の輸送の安全の確保を阻害する行為の停止、当該安全管理規程の遵守その他その是正のために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

(事故の報告)
第二十四条  一般貨物自動車運送事業者は、その事業用自動車が転覆し、火災を起こし、その他国土交通省令で定める重大な事故を引き起こしたときは、遅滞なく、事故の種類、原因その他国土交通省令で定める事項を国土交通大臣に届け出なければならない。

(国土交通大臣による輸送の安全にかかわる情報の公表)
第二十四条の二  国土交通大臣は、毎年度、第二十三条の規定による命令に係る事項、前条の規定による届出に係る事項その他の国土交通省令で定める輸送の安全にかかわる情報を整理し、これを公表するものとする。

(一般貨物自動車運送事業者による輸送の安全にかかわる情報の公表)
第二十四条の三  一般貨物自動車運送事業者は、国土交通省令で定めるところにより、輸送の安全を確保するために講じた措置及び講じようとする措置その他の国土交通省令で定める輸送の安全にかかわる情報を公表しなければならない。
(公衆の利便を阻害する行為の禁止等)

第二十五条  一般貨物自動車運送事業者は、荷主に対し、不当な運送条件によることを求め、その他公衆の利便を阻害する行為をしてはならない。
2  一般貨物自動車運送事業者は、一般貨物自動車運送事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争をしてはならない。
3  一般貨物自動車運送事業者は、特定の荷主に対し、不当な差別的取扱いをしてはならない。
4  国土交通大臣は、前三項に規定する行為があるときは、一般貨物自動車運送事業者に対し、当該行為の停止又は変更を命ずることができる。

(事業改善の命令)
第二十六条  国土交通大臣は、一般貨物自動車運送事業の適正かつ合理的な運営を確保するため必要があると認めるときは、一般貨物自動車運送事業者に対し、次に掲げる事項を命ずることができる。
一  事業計画を変更すること。
二  運送約款を変更すること。
三  自動車その他の輸送施設に関し改善措置を講ずること。
四  貨物の運送に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保することができる保険契約を締結すること。
五  運賃又は料金が利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認められる場合において、当該運賃又は料金を変更すること。
六  前各号に掲げるもののほか、荷主の利便を害している事実がある場合その他事業の適正な運営が著しく阻害されていると認められる場合において、事業の運営を改善するために必要な措置を執ること。

(名義の利用等の禁止)
第二十七条  一般貨物自動車運送事業者は、その名義を他人に一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業のため利用させてはならない。
2  一般貨物自動車運送事業者は、事業の貸渡しその他いかなる方法をもってするかを問わず、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を他人にその名において経営させてはならない。

第二十八条  削除

(輸送の安全に関する業務の管理の受委託)
第二十九条  事業用自動車の運行の管理その他国土交通省令で定める一般貨物自動車運送事業に係る輸送の安全に関する業務の管理の委託及び受託については、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
2  国土交通大臣は、受託者が当該業務の管理を行うのに適している者でないと認める場合を除き、前項の許可をしなければならない。

(事業の譲渡し及び譲受け等)
第三十条  一般貨物自動車運送事業の譲渡し及び譲受けは、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2  一般貨物自動車運送事業者たる法人の合併及び分割は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。ただし、一般貨物自動車運送事業者たる法人と一般貨物自動車運送事業を経営しない法人が合併する場合において一般貨物自動車運送事業者たる法人が存続するとき又は一般貨物自動車運送事業者たる法人が分割をする場合において一般貨物自動車運送事業を承継させないときは、この限りでない。
3  第五条及び第六条の規定は、前二項の認可について準用する。
4  第一項の認可を受けて一般貨物自動車運送事業を譲り受けた者又は第二項の認可を受けて一般貨物自動車運送事業者たる法人が合併若しくは分割をした場合における合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人若しくは分割により一般貨物自動車運送事業を承継した法人は、第三条の許可に基づく権利義務を承継する。

(相続)
第三十一条  一般貨物自動車運送事業者が死亡した場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により当該一般貨物自動車運送事業を承継すべき相続人を定めたときは、その者。以下同じ。)が被相続人の経営していた一般貨物自動車運送事業を引き続き経営しようとするときは、被相続人の死亡後六十日以内に、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
2  相続人が前項の認可の申請をした場合には、被相続人の死亡の日からその認可をする旨又はその認可をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした一般貨物自動車運送事業の許可は、その相続人に対してしたものとみなす。
3  第五条及び第六条の規定は、第一項の認可について準用する。
4  第一項の認可を受けた者は、被相続人に係る第三条の許可に基づく権利義務を承継する。

(事業の休止及び廃止)
第三十二条  一般貨物自動車運送事業者は、その事業を休止し、又は廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

(許可の取消し等)
第三十三条  国土交通大臣は、一般貨物自動車運送事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以内において期間を定めて自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止若しくは事業の全部若しくは一部の停止を命じ、又は第三条の許可を取り消すことができる。
一  この法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分若しくは道路運送法 (昭和二十六年法律第百八十三号)第八十三条 若しくは第九十五条 の規定若しくは同法第八十四条第一項 の規定による処分又は許可若しくは認可に付した条件に違反したとき。
二  第五条各号のいずれかに該当するに至ったとき。

第三十四条  国土交通大臣は、前条の規定により事業用自動車の使用の停止又は事業の停止を命じたときは、当該事業用自動車の道路運送車両法 による自動車検査証を国土交通大臣に返納し、又は当該事業用自動車の同法 による自動車登録番号標及びその封印を取り外した上、その自動車登録番号標について国土交通大臣の領置を受けるべきことを命ずることができる。
2  国土交通大臣は、前条の規定による事業用自動車の使用の停止又は事業の停止の期間が満了したときは、前項の規定により返納を受けた自動車検査証又は同項の規定により領置した自動車登録番号標を返付しなければならない。
3  前項の規定により自動車登録番号標(次項に規定する自動車に係るものを除く。)の返付を受けた者は、当該自動車登録番号標を当該自動車に取り付け、国土交通大臣の封印の取付けを受けなければならない。
4  国土交通大臣は、第一項の規定による命令に係る自動車であって、道路運送車両法第十六条第一項 の申請(同法第十五条の二第五項 の規定により申請があったものとみなされる場合を含む。)に基づき一時抹消登録をしたものについては、前条の規定による事業用自動車の使用の停止又は事業の停止の期間が満了するまでは、同法第十八条の二第一項 本文の登録識別情報を通知しないものとする。

(特定貨物自動車運送事業)
第三十五条  特定貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
2  前項の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一  氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二  運送の需要者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
三  営業所の名称及び位置、事業用自動車の概要、貨物自動車利用運送を行うかどうかの別その他国土交通省令で定める事項に関する事業計画
3  国土交通大臣は、その事業の計画が過労運転の防止その他輸送の安全を確保するため適切なものであると認めるときでなければ、第一項の許可をしてはならない。
4  第四条第二項(第二号に係る部分に限る。)及び第三項並びに第五条の規定は、第一項の許可について準用する。
5  第七条第四項の規定は同条第一項の規定による緊急調整地域の指定がある場合における第一項の許可の申請について、同条第六項の規定は当該緊急調整地域の指定がある場合における特定貨物自動車運送事業者について準用する。
6  第九条、第十五条、第十六条、第十七条第一項から第三項まで、第十八条、第二十二条第二項及び第三項、第二十二条の二から第二十四条の三まで、第二十七条、第三十二条並びに第三十三条の規定は特定貨物自動車運送事業者について、第十七条第四項及び第二十二条第三項の規定は特定貨物自動車運送事業者の事業用自動車の運転者及び従業員について、同条第一項の規定は特定貨物自動車運送事業者が選任した運行管理者について、第二十九条の規定は特定貨物自動車運送事業に係る輸送の安全に関する業務について、前条の規定は特定貨物自動車運送事業者の事業用自動車について準用する。この場合において、第九条第二項中「第六条」とあるのは、「第三十五条第三項」と読み替えるものとする。
7  特定貨物自動車運送事業の譲渡し又は特定貨物自動車運送事業者について合併、分割(当該事業を承継させるものに限る。)若しくは相続があったときは、当該事業を譲り受けた者又は合併後存続する法人(特定貨物自動車運送事業者たる法人と特定貨物自動車運送事業を経営しない法人の合併後存続する特定貨物自動車運送事業者たる法人を除く。)若しくは合併により設立された法人、分割により当該事業を承継した法人若しくは相続人は、第一項の許可に基づく権利義務を承継する。
8  前項の規定により第一項の許可に基づく権利義務を承継した者は、その承継の日から三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

(貨物軽自動車運送事業)
第三十六条  貨物軽自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、営業所の名称及び位置、事業用自動車の概要その他の事項を国土交通大臣に届け出なければならない。当該届出をした者(以下「貨物軽自動車運送事業者」という。)が届出をした事項を変更しようとするときも、同様とする。
2  第十五条、第十七条第一項から第三項まで、第二十三条、第二十五条第一項及び第三十三条(第一号に係る部分に限る。)の規定は貨物軽自動車運送事業者について、第十七条第四項の規定は貨物軽自動車運送事業者の事業用自動車の運転者及び運転の補助に従事する従業員について、第三十四条の規定は貨物軽自動車運送事業者の事業用自動車について準用する。この場合において、第二十三条中「第十六条第一項、第四項若しくは第六項、第十七条第一項から第三項まで、第十八条第一項、第二十二条第二項若しくは第三項若しくは前条の規定又は安全管理規程」とあるのは「第三十六条第二項において準用する第十七条第一項から第三項までの規定」と、第三十三条中「若しくは事業の全部若しくは一部の停止を命じ、又は第三条の許可を取り消すことができる」とあるのは「又は事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる」と読み替えるものとする。
3  貨物軽自動車運送事業者は、事業を廃止し、事業の全部を譲渡し、又は分割により事業の全部を承継させたときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
4  貨物軽自動車運送事業者たる法人が合併により消滅したときは、その業務を執行する役員であった者は、その日から三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
5  貨物軽自動車運送事業者が死亡したときは、相続人は、被相続人の死亡後三十日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

(第二種貨物利用運送事業者に関する特則)
第三十七条  第八条から第十一条まで、第二十五条から第二十七条まで及び第三十二条の規定又は第三十五条第六項において準用する第九条、第二十七条及び第三十二条の規定は、一般貨物自動車運送事業者又は特定貨物自動車運送事業者が経営する貨物利用運送事業法 (平成元年法律第八十二号)第二十条 又は第四十五条第一項 の許可に係る同法第二条第八項 の第二種貨物利用運送事業(同項 に規定する貨物の集配(以下この条において「貨物の集配」という。)に係る部分に限る。)については、適用しない。
2  貨物利用運送事業法第二十条 又は第四十五条第一項 の許可(以下この条において「第二種貨物利用運送事業許可」という。)を受けた者であって当該第二種貨物利用運送事業許可(当該事業に係る同法第二十五条第一項 又は第四十六条第二項 の認可を含む。以下この条において同じ。)の申請の時において同法第二十三条第五号 に規定する者に該当するものは、第三条又は第三十五条第一項の許可を受けることなく貨物の集配を行うことができる。
3  第十五条、第十六条、第十七条第一項から第三項まで、第十八条、第二十二条第二項及び第三項、第二十二条の二から第二十四条の三まで、第三十三条(第一号に係る部分に限る。)並びに第六十条第一項、第四項、第六項及び第七項の規定は前項の規定により第三条又は第三十五条第一項の許可を受けることなく行われる貨物の集配に係る前項に規定する者(第二種貨物利用運送事業許可を受けた後第三条又は第三十五条第一項の許可を受けて当該貨物の集配を行うこととなった者を除く。以下この項及び第三十九条において「特定第二種貨物利用運送事業者」という。)について、第十七条第四項及び第二十二条第三項の規定は特定第二種貨物利用運送事業者の事業用自動車の運転者及び従業員について、同条第一項の規定は特定第二種貨物利用運送事業者が選任した運行管理者について、第二十九条の規定は特定第二種貨物利用運送事業者が行う貨物の集配に係る輸送の安全に関する業務について、第三十四条の規定は特定第二種貨物利用運送事業者の事業用自動車について準用する。この場合において、第三十三条中「当該事業のための使用の停止若しくは事業の全部若しくは一部の停止を命じ、又は第三条の許可を取り消すことができる」とあるのは、「当該事業のための使用の停止を命ずることができる」と読み替えるものとする。

   第三章 民間団体等による貨物自動車運送の適正化に関する事業の推進

(地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の指定等)
第三十八条  国土交通大臣は、貨物自動車運送に関する秩序の確立に資することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、次条に規定する事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、運輸監理部及び運輸支局の管轄区域を勘案して国土交通大臣が定める区域(以下この章において単に「区域」という。)に一を限って、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関(以下「地方実施機関」という。)として指定することができる。
2  国土交通大臣は、前項の規定による地方実施機関の指定をしたときは、当該地方実施機関の名称、住所及び事務所の所在地並びに当該指定に係る区域を公示しなければならない。

(事業)
第三十九条  地方実施機関は、その区域において、次に掲げる事業(以下「地方適正化事業」という。)を行うものとする。
一  輸送の安全を阻害する行為の防止その他この法律又はこの法律に基づく命令の遵守に関し一般貨物自動車運送事業者、特定貨物自動車運送事業者及び貨物軽自動車運送事業者(以下「貨物自動車運送事業者」という。)に対する指導を行うこと。
二  貨物自動車運送事業者(特定第二種貨物利用運送事業者を含む。)以外の者の貨物自動車運送事業を経営する行為の防止を図るための啓発活動を行うこと。
三  前号に掲げるもののほか、貨物自動車運送に関する秩序の確立に資するための啓発活動及び広報活動を行うこと。
四  貨物自動車運送事業に関する貨物自動車運送事業者又は荷主からの苦情を処理すること。
五  輸送の安全を確保するために行う貨物自動車運送事業者への通知その他国土交通大臣がこの法律及び流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律 (平成十七年法律第八十五号)の施行のためにする措置に対して協力すること。

(苦情の解決)
第三十九条の二  地方実施機関は、貨物自動車運送事業者又は荷主から貨物自動車運送事業に関する苦情について解決の申出があったときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、当該苦情に係る事情を調査するとともに、当該申出の対象となった貨物自動車運送事業者に対し当該苦情の内容を通知してその迅速な処理を求めなければならない。
2  地方実施機関は、前項の申出に係る苦情の解決について必要があると認めるときは、当該申出の対象となった貨物自動車運送事業者に対し、文書若しくは口頭による説明又は資料の提出を求めることができる。
3  貨物自動車運送事業者は、地方実施機関から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。
4  地方実施機関は、第一項の申出、当該苦情に係る事情及びその解決の結果について貨物自動車運送事業者に周知させなければならない。

(説明又は資料提出の請求)
第三十九条の三  地方実施機関は、前条の規定によるもののほか、地方適正化事業の実施に必要な限度において、貨物自動車運送事業者に対し、文書若しくは口頭による説明又は資料の提出を求めることができる。
2  貨物自動車運送事業者は、地方実施機関から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。

(改善命令)
第四十条  国土交通大臣は、地方実施機関の地方適正化事業の運営に関し改善が必要であると認めるときは、地方実施機関に対し、その改善に必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

(指定の取消し等)
第四十一条  国土交通大臣は、地方実施機関が前条の規定による命令に違反したときは、第三十八条第一項の指定を取り消すことができる。
2  国土交通大臣は、前項の規定により第三十八条第一項の指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。

(国土交通省令への委任)
第四十二条  第三十八条第一項の指定の手続その他地方実施機関に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。

(全国貨物自動車運送適正化事業実施機関の指定等)
第四十三条  国土交通大臣は、貨物自動車運送に関する秩序の確立に資することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、次条に規定する事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国に一を限って、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関(以下「全国実施機関」という。)として指定することができる。

(事業)
第四十四条  全国実施機関は、次に掲げる事業(以下「全国適正化事業」という。)を行うものとする。
一  地方適正化事業の円滑な実施を図るための基本的な指針を策定すること。
二  地方適正化事業について、連絡調整を図り、及び指導を行うこと。
三  地方実施機関の業務に従事する者に対する研修を行うこと。
四  二以上の区域における貨物自動車運送に関する秩序の確立に資するための啓発活動及び広報活動を行うこと。

(準用規定)
第四十五条  第三十八条第二項及び第四十条から第四十二条までの規定は、全国実施機関について準用する。この場合において、第三十八条第二項中「所在地並びに当該指定に係る区域」とあるのは「所在地」と、第四十条中「地方適正化事業」とあるのは「全国適正化事業」と読み替えるものとする。

   第四章 指定試験機関

(指定試験機関の指定等)
第四十六条  国土交通大臣は、その指定する者(以下「指定試験機関」という。)に、運行管理者試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせることができる。
2  指定試験機関の指定は、試験事務を行おうとする者の申請により行う。
3  国土交通大臣は、指定試験機関の指定をしたときは、試験事務を行わないものとする。

(指定の基準)
第四十七条  国土交通大臣は、他に指定試験機関の指定を受けた者がなく、かつ、前条第二項の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、指定試験機関の指定をしてはならない。
一  職員、試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が試験事務の適確な実施のために適切なものであること。
二  前号の試験事務の実施に関する計画を適確に実施するに足る経理的基礎及び技術的能力があること。
三  試験事務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって試験事務が不公正になるおそれがないこと。
2  国土交通大臣は、前条第二項の申請をした者が次の各号のいずれかに該当するときは、指定試験機関の指定をしてはならない。
一  一般社団法人又は一般財団法人以外の者であること。
二  この法律の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者であること。
三  第五十七条第一項又は第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者であること。
四  その役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
イ 第二号に該当する者
ロ 第五十条第三項の規定による命令により解任され、その解任の日から二年を経過しない者

(指定の公示等)
第四十八条  国土交通大臣は、指定試験機関の指定をしたときは、指定試験機関の名称、住所及び試験事務を行う事務所の所在地並びに試験事務の開始の日を公示しなければならない。
2  指定試験機関は、その名称若しくは住所又は試験事務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
3  国土交通大臣は、前項の届出があったときは、その旨を公示しなければならない。

(試験員)
第四十九条  指定試験機関は、試験事務を行う場合において、運行管理者として必要な知識及び能力を有するかどうかの判定に関する事務については、国土交通省令で定める要件を備える者(以下「試験員」という。)に行わせなければならない。

(役員等の選任及び解任)
第五十条  指定試験機関の試験事務に従事する役員の選任及び解任は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2  指定試験機関は、試験員を選任し、又は解任したときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
3  国土交通大臣は、指定試験機関の役員又は試験員が、この法律、この法律に基づく命令若しくは処分若しくは第五十二条第一項の試験事務規程に違反したとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、その指定試験機関に対し、その役員又は試験員を解任すべきことを命ずることができる。

(秘密保持義務等)
第五十一条  指定試験機関の役員若しくは職員(試験員を含む。)又はこれらの職にあった者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2  試験事務に従事する指定試験機関の役員及び職員(試験員を含む。)は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

(試験事務規程)
第五十二条  指定試験機関は、国土交通省令で定める試験事務の実施に関する事項について試験事務規程を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2  国土交通大臣は、前項の認可をした試験事務規程が試験事務の公正かつ適確な実施上不適当となったと認めるときは、その指定試験機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。

(事業計画等)
第五十三条  指定試験機関は、毎事業年度、試験事務に係る事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2  指定試験機関は、毎事業年度、試験事務に係る事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に国土交通大臣に提出しなければならない。

(帳簿の備付け等)
第五十四条  指定試験機関は、国土交通省令で定めるところにより、帳簿を備え付け、これに試験事務に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載し、及びこれを保存しなければならない。

(監督命令)
第五十五条  国土交通大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。

(業務の休廃止)
第五十六条  指定試験機関は、国土交通大臣の許可を受けなければ、試験事務の全部若しくは一部を休止し、又は廃止してはならない。
2  国土交通大臣は、前項の許可をしたときは、その旨を公示しなければならない。

(指定の取消し等)
第五十七条  国土交通大臣は、指定試験機関が第四十七条第二項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときは、その指定を取り消さなければならない。
2  国土交通大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一  この章の規定に違反したとき。
二  第四十七条第一項各号のいずれかに適合しなくなったと認められるとき。
三  第五十条第三項、第五十二条第二項又は第五十五条の規定による命令に違反したとき。
四  第五十二条第一項の規定により認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行ったとき。
五  不正な手段により指定を受けたとき。
3  国土交通大臣は、第一項若しくは前項の規定により指定を取り消し、又は同項の規定により試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。

(国土交通大臣による試験事務の実施)
第五十八条  国土交通大臣は、指定試験機関が第五十六条第一項の規定による許可を受けて試験事務の全部若しくは一部を休止したとき、前条第二項の規定により試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、第四十六条第三項の規定にかかわらず、試験事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
2  国土交通大臣は、前項の規定により試験事務を行うこととし、又は同項の規定により行っている試験事務を行わないこととするときは、あらかじめ、その旨を公示しなければならない。
3  国土交通大臣が、第一項の規定により試験事務を行うこととし、第五十六条第一項の規定により試験事務の廃止を許可し、又は前条第一項若しくは第二項の規定により指定を取り消した場合における試験事務の引継ぎその他の必要な事項は、国土交通省令で定める。

   第五章 雑則

(許可等の条件)
第五十九条  この法律に規定する許可又は認可には、条件又は期限を付し、及びこれを変更することができる。
2  前項の条件又は期限は、許可又は認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該許可又は認可を受ける者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。

(報告の徴収及び立入検査)
第六十条  国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、国土交通省令で定めるところにより、貨物自動車運送事業者に対し、その事業に関し報告をさせることができる。
2  国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、地方実施機関及び全国実施機関(以下「地方実施機関等」という。)に対し、その事業に関し報告をさせることができる。
3  国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、指定試験機関に対し、試験事務に関し報告をさせることができる。
4  国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、貨物自動車運送事業者の事務所その他の事業場に立ち入り、業務若しくは経理の状況若しくは事業の用に供する施設、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
5  国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、地方実施機関等又は指定試験機関の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
6  前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
7  第四項及び第五項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(安全管理規程に係る報告の徴収又は立入検査の実施に係る基本的な方針)
第六十条の二  国土交通大臣は、前条第一項の規定による報告の徴収又は同条第四項の規定による立入検査のうち安全管理規程(第十六条第二項第一号(第三十五条第六項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)に係る部分に限る。)に係るものを適正に実施するための基本的な方針を定めるものとする。

(手数料)
第六十一条  運行管理者試験を受けようとする者又は運行管理者資格者証の交付若しくは再交付を受けようとする者は、実費を勘案して国土交通省令で定める額の手数料を国(指定試験機関が行う試験を受けようとする者にあっては、当該指定試験機関)に納めなければならない。
2  前項の規定により指定試験機関に納められた手数料は、当該指定試験機関の収入とする。

(指定試験機関の処分についての審査請求)
第六十二条  この法律の規定による指定試験機関の処分に不服がある者は、国土交通大臣に対し、行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。

(標準運賃及び標準料金)
第六十三条  国土交通大臣は、特定の地域(特別積合せ貨物運送に係る運賃及び料金にあっては、特定の地域間。以下この項において同じ。)において、一般貨物自動車運送事業に係る運賃及び料金がその供給輸送力及び輸送需要量の不均衡又は物価その他の経済事情の変動により著しく高騰し、又は下落するおそれがある場合において、公衆の利便又は一般貨物自動車運送事業の健全な運営を確保するため特に必要があると認めるときは、当該特定の地域を指定して、一般貨物自動車運送事業の能率的な経営の下における適正な原価及び適正な利潤を基準として、期間を定めて標準運賃及び標準料金を定めることができる。
2  国土交通大臣は、前項の規定による標準運賃及び標準料金を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。

(荷主への勧告)
第六十四条  国土交通大臣は、一般貨物自動車運送事業者若しくは特定貨物自動車運送事業者(以下「一般貨物自動車運送事業者等」という。)が第十七条第一項から第三項まで(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定に違反したことにより第二十三条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による命令をする場合又は一般貨物自動車運送事業者等が第三十三条第一号(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)に該当したことにより第三十三条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による処分をする場合において、当該命令又は処分に係る違反行為が荷主の指示に基づき行われたことが明らかであるときその他当該違反行為が主として荷主の行為に起因するものであると認められ、かつ、当該一般貨物自動車運送事業者等に対する命令又は処分のみによっては当該違反行為の再発を防止することが困難であると認められるときは、当該荷主に対しても、当該違反行為の再発の防止を図るため適当な措置を執るべきことを勧告することができる。
2  国土交通大臣は、前項の規定による勧告をするときは、あらかじめ、当該勧告の対象となる荷主が行う事業を所管する大臣の意見を聴かなければならない。

(経過措置)
第六十五条  この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃するときは、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

(権限の委任)
第六十六条  この法律に規定する国土交通大臣の権限は、国土交通省令で定めるところにより、地方運輸局長に委任することができる。
2  前項の規定により地方運輸局長に委任された権限は、国土交通省令で定めるところにより、運輸監理部長又は運輸支局長に委任することができる。

(運輸審議会への諮問)
第六十七条  国土交通大臣は、第七条第一項の規定による緊急調整地域の指定、同条第二項の規定による緊急調整区間の指定、第六十条の二の規定による基本的な方針の策定並びに第六十三条第一項の規定による標準運賃及び標準料金の設定については、運輸審議会に諮らなければならない。

第六十八条  削除

(国土交通省令への委任)
第六十九条  この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他の事項は、国土交通省令で定める。

   第六章 罰則

第七十条  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  第三条の規定に違反して一般貨物自動車運送事業を経営した者
二  第二十七条第一項の規定に違反してその名義を他人に一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業のため利用させた者
三  第二十七条第二項の規定に違反して一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を他人にその名において経営させた者
四  第三十五条第六項において準用する第二十七条第一項の規定に違反してその名義を他人に一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業のため利用させた者
五  第三十五条第六項において準用する第二十七条第二項の規定に違反して一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を他人にその名において経営させた者

第七十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一  第三十三条(第三十五条第六項、第三十六条第二項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定による輸送施設の使用の停止又は事業の停止の命令に違反した者
二  第三十五条第一項の規定に違反して特定貨物自動車運送事業を経営した者

第七十二条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。
一  第五十一条第一項の規定に違反してその職務に関し知り得た秘密を漏らした者
二  指定試験機関が第五十七条第二項の規定による業務の停止の命令に違反した場合におけるその違反行為をした指定試験機関の役員又は職員

第七十三条  次の各号のいずれかに該当する者は、百五十万円以下の罰金に処する。
一  第十八条第一項(第三十五条第六項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して運行管理者を選任しなかった者
二  第二十九条第一項(第三十五条第六項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定による許可を受けないで業務の管理の委託又は受託をした者

第七十四条  第九条第一項(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定に違反して事業計画を変更した者は、百万円以下の罰金に処する。

第七十五条  次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定試験機関の役員又は職員は、百万円以下の罰金に処する。
一  第五十四条の規定に違反して帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
二  第五十六条第一項の規定に違反して試験事務の全部を廃止したとき。
三  第六十条第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
四  第六十条第五項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。

第七十六条  次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
一  第八条第二項、第十六条第三項若しくは第七項(これらの規定を第三十五条第六項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)、第二十三条(第三十五条第六項、第三十六条第二項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)、第二十五条第四項、第二十六条又は第三十四条第一項(第三十五条第六項、第三十六条第二項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
二  第九条第三項(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による届出をしないで事業用自動車に関する事業計画の変更をした者
三  削除
四  第十条第一項の規定による認可を受けないで、又は認可を受けた運送約款によらないで、運送契約を締結した者
五  第十六条第一項(第三十五条第六項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定による届出をしないで、又は届け出た安全管理規程(第十六条第二項第二号及び第三号(これらの規定を第三十五条第六項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)に係る部分に限る。)によらないで、事業を行った者
六  第十六条第四項(第三十五条第六項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、安全統括管理者を選任しなかった者
七  第十六条第五項又は第十八条第三項(これらの規定を第三十五条第六項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
八  第三十四条第三項(第三十五条第六項、第三十六条第二項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
九  第三十六条第一項の規定に違反して、貨物軽自動車運送事業を経営した者
十  第六十条第一項(第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
十一  第六十条第四項(第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

第七十七条  次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした地方実施機関又は全国実施機関の役員又は職員は、百万円以下の罰金に処する。
一  第六十条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
二  第六十条第五項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。

第七十八条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関し、第七十条、第七十一条、第七十三条、第七十四条又は第七十六条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

第七十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の過料に処する。
一  第九条第三項(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、軽微な事項に関する事業計画の変更を届け出なかった者
二  第十一条の規定による掲示をせず、又は虚偽の掲示をした者
三  正当な理由なく、第二十条の規定による命令に違反して、運行管理者資格者証を返納しなかった者
四  第二十四条(第三十五条第六項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
五  第二十四条の三(第三十五条第六項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をした者
六  第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)、第三十五条第八項又は第三十六条第三項から第五項までの規定に違反した者