倉庫業

 昨年、一般自動車貨物と第一種自動車利用運送、及び倉庫業の役員変更の届出を一括届出書を使って東京運輸支局に提出しました。
 受理もされたことあって特に問題ないと思っていたのですが、先日そのお客様から連絡がありました。
 「倉庫業だけ届出がされていないということを運輸局から指摘された」というのです。
 慌てて調査し、運輸局の担当にも確認したのですが、担当者からの返事は「問題なく受理されており、届出には疑義なし」というものでした。

 その後、運輸局の倉庫担当の方から連絡がありまして、どうやら倉庫業のデータベースにおけるフォーマットの問題ではないかと言われました。
 どういうことかといいますと、倉庫業のデータベースには役員の記載欄には文字数制限があるとのことです。
 お客様の会社は外資系で、代表取締役が日本人と外国人の2名いらっしゃいます。
 外国人名は長いこともあってデータベースに入らずに、日本人の名前のみを入れてしまった結果、その後の手続きの中で見慣れない役員名があって運輸局の人間が見間違えたのではないかということでした。

 …正直、これは盲点でした。
 対策の取りようはないのですが、控えをきちんと取り、担当者との関係をさらに強くしておくことくらいでしょうか。
 気を付けたいものです。

 営業倉庫を営む場合に一番注意したいのが、対象となる倉庫についての書類です。
 建築確認と完了検査の両方を済ませてその証明書が必要なのですが、古い建物になってしまうと今ほど建築に関する制約が厳しくなかったこともあって、なぜか完了検査を受けていないということが稀にあります。
 こうなってしまうと、営業倉庫を営むことはできません。
 古い建物で倉庫業を考えている方は気をつけましょう。

 一緒にプロジェクトを進めている蔵本先生と倉庫の案件のお話。
 倉庫業の申請において、一番ネックとなるのはどうしても建築基準法と都市計画法です。
 耐震基準も平成元年以前だと厳しくなってくるそうです。

 営業用倉庫は住居地域に作ることができません。
 また、準住居地域でも周囲の騒音問題との照らし合わせなどがあり、簡単には申請が通らない事態が起こります。

 で、今回起きたのは「倉庫の検査完了済証」がないので申請できないというものでした。
 建築後、その建物が建築基準法に適合しているかどうかを検査して合格したものに出される書面です。
 営業倉庫は建築基準法に適合していることが絶対条件ですので、土木事務所で確認して検査合格の履歴がなければ申請はできません。

 既存の建物を営業倉庫として使うにはそれなりに高いハードルがあるようです。

 トランクルームというと、よく町中で見かけるコンテナボックスを思い浮かべる方が多いとは思いますが、倉庫業法における「トランクルーム」とは「認定トランクルーム」のことで、コンテナボックスのことではありません。
 倉庫業法における施設基準は普通倉庫とまったく同じで、違いは「消費者(個人)からの寄託貨物のみを取り扱う」点のみです。
 認定を受けると国交省の認定マークをつけることができます。
 厳しい基準をクリアした証ということで、お客様には大きなアピールになります。

 なお、町中にあるコンテナボックスはいわゆるただの「レンタルスペース」です。
 これには特に倉庫業法の制約はありません。

 昨日の話になりますが、お客様との話の際に「TAPA認証」なる言葉を耳にしました。
 まだ日本では浸透してはいませんが、ISOなどのような国際認証制度で、貴重品やハイテク製品の保護と企業資産の保全を目的とした倉庫を対象としたものです。
 高度なセキュリティを持つ倉庫に国際的な「お墨付き」を与えるといったもののようです。

 治安のよい日本においては倉庫が簡単に荒らされる危険はありません。
 ですが、その「安全神話」が通用するのは日本国内だけの話です。
 世界を相手にするためには、やはり国際基準の中で認められた認証を受けることが重要になってきます。
 すでに大企業は取得してきており、今後は重要な役割を果たすのではないかとされている認証制度です。

 せっかくなので、もう少し突き詰めて勉強してみようと思います。
 物流のレベルアップを目指して頑張ります。