自動車の保管場所の確保等に関する法律

(目的)
第一条  この法律は、自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づけるとともに、自動車の駐車に関する規制を強化することにより、道路使用の適正化、道路における危険の防止及び道路交通の円滑化を図ることを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  自動車 道路運送車両法 (昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項 に規定する自動車(二輪の小型自動車、二輪の軽自動車及び二輪の小型特殊自動車を除く。)をいう。
二  保有者 自動車損害賠償保障法 (昭和三十年法律第九十七号)第二条第三項 に規定する保有者をいう。
三  保管場所 車庫、空地その他自動車を通常保管するための場所をいう。
四  道路 道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項 に規定する道路及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。
五  駐車 道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第十八号 に規定する駐車をいう。

(保管場所の確保)
第三条  自動車の保有者は、道路上の場所以外の場所において、当該自動車の保管場所(自動車の使用の本拠の位置との間の距離その他の事項について政令で定める要件を備えるものに限る。第十一条第一項を除き、以下同じ。)を確保しなければならない。

(保管場所の確保を証する書面の提出等)
第四条  道路運送車両法第四条 に規定する処分、同法第十二条 に規定する処分(使用の本拠の位置の変更に係るものに限る。以下同じ。)又は同法第十三条 に規定する処分(使用の本拠の位置の変更を伴う場合に限る。以下同じ。)を受けようとする者は、当該行政庁に対して、警察署長の交付する道路上の場所以外の場所に当該自動車の保管場所を確保していることを証する書面で政令で定めるものを提出しなければならない。ただし、その者が、警察署長に対して、当該書面に相当するものとして政令で定める通知を当該行政庁に対して行うべきことを申請したときは、この限りでない。
2  当該行政庁は、前項の政令で定める書面の提出又は同項ただし書の政令で定める通知がないときは、同項の処分をしないものとする。

第五条  軽自動車である自動車を新規に運行の用に供しようとするときは、当該自動車の保有者は、当該自動車の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、保管場所の位置その他政令で定める事項を届け出なければならない。

(保管場所標章)
第六条  警察署長は、第四条第一項の政令で定める書面を交付したとき、同項ただし書の政令で定める通知を行つたとき、又は前条の規定による届出を受理したときは、当該自動車の保有者に対し、当該自動車の保管場所の位置等について表示する国家公安委員会規則で定める様式の保管場所標章を交付しなければならない。
2  前項の規定により保管場所標章の交付を受けた者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該自動車に保管場所標章を表示しなければならない。この場合において、道路運送車両法第十二条 に規定する処分又は同法第十三条 に規定する処分についての第四条第一項 の政令で定める書面の交付又は同項 ただし書の政令で定める通知に係る保管場所標章を表示するときは、既に表示されている保管場所標章を取り除かなければならない。
3  自動車の保有者は、前項前段の保管場所標章が滅失し、損傷し、又はその識別が困難となつた場合その他国家公安委員会規則で定める場合には、当該自動車の保管場所の位置を管轄する警察署長に、その再交付を求めることができる。

(保管場所の変更届出等)
第七条  自動車の保有者は、第四条第一項の政令で定める書面若しくは同項ただし書の政令で定める通知(以下この項において「書面等」という。)において証された保管場所の位置を変更したとき(道路運送車両法第十二条 に規定する処分又は同法第十三条 に規定する処分を受けようとする場合において、書面等において証された保管場所の位置を変更したときを除く。)又は第五条の規定による届出に係る保管場所の位置を変更したときは、変更した日から十五日以内に、変更後の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、変更後の保管場所の位置その他政令で定める事項を届け出なければならない。変更後の保管場所の位置を変更したとき(同法第十二条 に規定する処分又は同法第十三条 に規定する処分を受けようとする場合において、書面等において証された保管場所の位置を変更したときを除く。)も、同様とする。
2  前条第一項の規定は前項の規定による届出を受理した場合について、同条第二項及び第三項の規定はこの項において準用する同条第一項の規定により交付された保管場所標章について準用する。この場合において、同条第二項中「道路運送車両法第十二条 に規定する処分又は同法第十三条 に規定する処分についての第四条第一項 の政令で定める書面の交付又は同項 ただし書の政令で定める通知に係る」とあるのは、「次条第一項の規定による届出に係る」と読み替えるものとする。

(通知)
第八条  警察署長は、自動車について、保管場所標章が表示されていないことその他の理由により、道路上の場所以外の場所に保管場所が確保されていないおそれがあるものと認めたときは、当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に対し、その旨を通知するものとする。

(自動車の運行供用の制限)
第九条  自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会は、道路上の場所以外の場所に自動車の保管場所が確保されていると認められないときは、当該自動車の保有者に対し、当該自動車の保管場所が確保されたことについて公安委員会の確認を受けるまでの間当該自動車を運行の用に供してはならない旨を命ずることができる。
2  公安委員会は、前項の規定による命令をしたときは、当該命令を受けた自動車の保有者に対し、運行の用に供してはならないこととなる自動車の番号標の番号その他の国家公安委員会規則で定める事項を記載した文書を交付し、かつ、当該自動車の前面の見やすい箇所に国家公安委員会規則で定める様式の標章をはり付けるものとする。
3  前項の規定により標章をはり付けられた自動車の保有者が道路上の場所以外の場所に当該自動車の保管場所を確保したときは、その旨を第一項の規定による命令をした公安委員会に申告するものとする。
4  公安委員会は、前項の申告を受けたときは、速やかに当該申告に係る保管場所の位置に当該自動車の保管場所が確保されているかどうかを確認しなければならない。
5  公安委員会は、当該申告に係る保管場所の位置に当該自動車の保管場所が確保されていることを確認したときは、当該自動車の保有者に対し、文書で確認した旨を通知し、かつ、第二項の規定によりはり付けられた標章を取り除かなければならない。
6  何人も、第二項の規定によりはり付けられた標章を破損し、又は汚損してはならず、また、前項の規定による場合を除き、これを取り除いてはならない。

(聴聞の特例)
第十条  公安委員会は、前条第一項の規定による命令をしようとするときは、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第十三条第一項 の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
2  前項の聴聞を行うに当たつては、その期日の一週間前までに、行政手続法第十五条第一項 の規定による通知をし、かつ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
3  前項の通知を行政手続法第十五条第三項 に規定する方法によつて行う場合においては、同条第一項 の規定により聴聞の期日までにおくべき相当な期間は、二週間を下回つてはならない。
4  第一項の聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。

(保管場所としての道路の使用の禁止等)
第十一条  何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。
2  何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一  自動車が道路上の同一の場所に引き続き十二時間以上駐車することとなるような行為
二  自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き八時間以上駐車することとなるような行為
3  前二項の規定は、政令で定める特別の用務を遂行するため必要がある場合その他政令で定める場合については、適用しない。

(報告又は資料の提出)
第十二条  公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、使用の本拠の位置がその管轄に属する自動車の保有者又は当該自動車の保管場所を管理する者に対し、当該自動車の保管場所に関し報告又は資料の提出を求めることができる。

(適用除外等)
第十三条  道路運送法 (昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第二項 に規定する自動車運送事業(以下「自動車運送事業」という。)又は貨物利用運送事業法 (平成元年法律第八十二号)第二条第八項 に規定する第二種貨物利用運送事業(自動車を使用して貨物の集配を行うものに限る。以下「第二種貨物利用運送事業」という。)の用に供する自動車については、第四条から第七条まで、第九条、第十条及び第十二条の規定を適用せず、その保管場所の確保に関しては、この法律に定めるもののほか、道路運送法 、貨物自動車運送事業法 (平成元年法律第八十三号)若しくは貨物利用運送事業法 又はこれらの法律に基づく命令の定めるところによる。
2  自動車運送事業又は第二種貨物利用運送事業の用に供する自動車(以下「運送事業用自動車」という。)の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会は、運送事業用自動車の保有者が道路上の場所以外の場所に当該自動車の保管場所を確保していないおそれがあると認めるときは、当該事業を監督する行政庁に対し、その旨を通知するものとする。
3  運送事業用自動車である自動車が運送事業用自動車でなくなつた場合において引き続き当該自動車を運行の用に供しようとするとき(道路運送車両法第十二条 に規定する処分又は同法第十三条 に規定する処分を受けようとするときを除く。)の当該自動車の保有者は、当該自動車が運送事業用自動車でなくなつた日から十五日以内に、当該自動車の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、保管場所の位置その他政令で定める事項を届け出なければならない。
4  第六条第一項の規定は前項の規定による届出を受理した場合について、同条第二項前段及び第三項の規定はこの項において準用する同条第一項の規定により交付された保管場所標章について、第七条の規定は前項の規定による届出に係る保管場所の位置を変更した場合について準用する。

(方面公安委員会への権限の委任)
第十四条  この法律又はこの法律に基づく政令の規定により道公安委員会の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面公安委員会に委任することができる。

(経過措置)
第十五条  この法律の規定に基づき政令又は国家公安委員会規則を制定し、又は改廃する場合においては、それぞれ政令又は国家公安委員会規則でその制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

(国家公安委員会規則への委任)
第十六条  この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

(罰則)
第十七条  次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
一  第九条第一項の規定による公安委員会の命令に違反した者
二  第十一条第一項の規定に違反して道路上の場所を使用した者
2  次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一  自動車の保管場所に関する虚偽の書面を提出し、又は警察署長に自動車の保管場所に関する虚偽の通知を行わせて、第四条第一項の規定による処分を受けた者
二  第十一条第二項の規定に違反した者
3  次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一  第五条、第七条第一項(第十三条第四項において準用する場合を含む。)又は第十三条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二  第九条第六項の規定に違反した者
三  第十二条の規定による報告をせず、若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出した者

第十八条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。

  

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