車庫証明

 車庫証明申請には「新規・増車」と「代替」の2種類があります。
 後者の場合はもともと置いてあった車を入れ替えるだけなので、寸法さえ合っていれば何ら問題ありません。(サイズアップした結果はみ出てしまう時は認められません)
 問題になるのは前者の場合です。
 車が置いてなかった場所に置くわけですから、本当に置けるのかどうか確認しなければならないのです。

 車庫が月極の駐車場や、マンションの駐車場の場合はすでにデータベースがあるので、特に問題にならないのですが、一軒家の敷地内の場合は「実査」という手続きが取られます。
 これは読んで字のごとく、実際に車庫の状態を警察の交通課が視察することで、ここが該当する自動車を置くにふさわしいかどうかを確認してもらうのです。
 これは申請の際に窓口の方から言われますので、その場合は「警察の方がきちんと見られるようにしておく」必要があります。
 ガレージのシャッターを閉めっぱなしだったり、ガレージの中や庭がが散らかっていたりすると「納車までに片づける予定」でも許可が下りないことがあるのです。

 また、実査の際は許可が1日程度遅くなることがあるので注意しましょう。

 時折ある話で困るのが「行政書士の先生からお願いすれば、警察の人も聞いてくれるでしょ?」というもの。
 私らは専門家ではありますが、警察の人間も役人であり、法の順守を求められています。
 つまり、向こうが法の道理に合わないことを言っていれば、それに対して発言することで覆せる可能性はありますが、明らかに向こうの言っていることが間違っていなければ私たちの反論する余地はありません。
 そして、ほとんどの「お願い」が、「明らかにこちらが無理な話を通そうとしている」ケースなのです。

 私たちもできる限り、お客様のご要望に応えたいとは思っています。
 ですが、些細なことだとしても、行政手続きは「法的なもの」です。
 法律に則っていなければ、いくらお願いされても通しようがないのです。

 「法律上怪しいものを合うようにするにはどうすればいいか」というものを検討することが私たちの「専門家としての仕事」です。
 決して、無理を通そうとしないようにお願いします。

 昨日のお話。
 某警察署に車庫証明を出しに行ったら、そこで止められました。
 どうやら3年前に申請を出したところ、不可になった場所らしいのです。
 当時の資料を見せてもらったのですが、そこは自宅のガレージで、確かに全長が不足しており「不可」の印が捺されていました。
 その際は別の場所に車庫を借りて登録したようですが、同じ車種で代替したので今回も全長不足…というわけです。

 窓口の方は実査もしている方で、特に「不可」になった物件は覚えているとのこと。
 しかも見回りもしているとのことで、常に目を光らせていると言っていました。

 今回のお客さん(厳密にはディーラーさんのお客さん)は、前回別車庫で車庫証明を取っていながら、登録後すぐに自宅のガレージに持ってきていたのを見ているとのことでお叱りを受けました。
 もちろん私が担当していたわけではないのですが、交通課の方の目に驚きました。

 これを読まれている方は、絶対にこういうことをやっちゃいけませんよ。
 全長が足りないということは、道路にはみ出しているということですから。
 たった数センチでも何かあった時には大問題になることがあります。

 ワンライティングになっている書類の作成で非常に便利なのがドットプリンタです。
 一度で下の書類にも印刷してくれることもあり、使いこなせれば書類作成(特に車庫証明)がとてもスムーズになります。

 しかし、このプリンタで難しいのが位置の調整です。
 何度か調整を繰り返しながら、ようやくベストの位置を見つけた時はいいのですが、何かのはずみでズレてしまうと大変です。
 特に東京都の場合は申請用紙をスキャナーで取り込んで、別の紙に印刷するという方式を取っているので、ズレたことによって読み込めなくなってしまう恐れがあるのです。

 通常、私たちの場合は書類を先に作成して後から印鑑をいただく方式を取っているので大きな問題は起きないのですが、時折印鑑が先のことがあるのでその際は注意しながら手書きで作成する…なんてこともあります。
 ドットプリンタの使い方には注意しましょう。

 車庫証明の承諾書代わりに利用できるという契約書のコピー。
 書き間違えるリスクが小さく、承諾書の発行に高額な手数料を要求する業者に対する措置として便利なものではあります。
 ですが、時々「契約自体が誤っている」という事態が起きます。

 特に「すでに契約者の名前や住所が印字されていて、当事者が捺印するだけで済む」もの。
 実際に私が遭遇したケースでは住所が誤って印字されていたことがあり、承諾書をもらい直すということがありました。
 契約書を交わす際はきちんと確認しましょう。

 車庫証明申請で、車庫の土地が他人であった場合に必要な書類に承諾書があります。
 最近はこの承諾書の代わりに車庫契約書のコピーでもいいというお達しが警察からされています。
 これは一部業者や地主が承諾書の発行に手数料をかけてくるという事実があるからです。
 実際、私がディーラーマン時代に5000円という法外な手数料を要求してきた地主さんがいました。

 そんなわけで、今日も契約書コピーを持っていったのですが、ここで問題が。
 契約書コピーに貸主の印が押してあるページが抜けていたのです。
 ちなみに埼玉県警のルールでは、双方の印があるものが条件。

 どうしても今週中の登録が必要だったので、受け取りの時に差し替えることで受理してもらいました。
 やっぱり承諾書の方が簡単ですね。
 法外な手数料を要求する業者や地主がいなくなればいいのですがと思ってしまいます。

 某警察に車庫を出しに行ったときに、申請書を見た担当の方から「あ~、これ旧番地ですよね」と言われました。
 番地が4桁だったのでそんなことは分かっていましたが、管理者が承諾書に記入した番地をそのまま書いているわけですから、そこで何かを言われる筋合いはありません。

 担当者の方曰く、「調査がしづらい」ということですが、かつて管理者と「新番地を書いてくれ」と言ってトラブったこともあるそうです。
 ただ、管理者は管理する駐車場の新番地まで把握するようなことは経験上ほとんどありません。
 機械的に承諾書を書いて、印鑑を捺す。
 それだけなのです。

 結局、新番地を調べてくれたのでカッコ付で追記したのですが、こういった案件は役所と個人の温度の違いなのかなと、そんなことを思った次第です。
 併記してくれることが一番ありがたいそうですが、私の記憶の中ではそんなことがあったのは1件だけです。(笑)

 車庫証明の申請の際に必要な書類のひとつに地図があります。
 地図には「所在図」(自宅と駐車場の位置を表したもの)と「配置図」(駐車場のレイアウト)の2種類があり、前者は同じ場所での代替であればその保管場所番号を記載すれば省略ができます。

 大きなマンションの駐車場だったり、台数の多い月極駐車場の場合は管理会社がレイアウトや地図を持っていることが多いので、そのコピーをいただいてしまえば、駐車位置に印をつけることくらいしかやる必要はありません。

 しかし、小さなところや自宅の場合はそうもいきません。
 この地図作りが面倒だという声もよく聞きます。

 個人でやってしまう場合は簡単な方法がありまして、所在図をネットの航空地図をプリントアウトして貼り付けるという裏ワザがあります。
 我々はお金が発生するので、原則的にはゼンリンさんのシールを貼らないといけないのですが、個人が自分のためにやる限りは著作権法に引っかかることはないので、これを利用するのもいいでしょう。

 実際に書くときは、定規を使い、分かりやすい目印や道路を確実に書き入れます。
 細かすぎる必要はありません。
 名前のついている道路や、学校、病院、郵便局などが目印にはお勧めです。

 配置図については以前こちらでも取り上げた通り、道路もちゃんと書きましょう。
 ちなみに、配置番号のない駐車場を使うときは何台入るか、どの位置に入れるかをできるだけ詳しく書きましょう。

 雑過ぎて分からないと、書類を受け付けてもらえないこともあります。
 「誰が見てもある程度の見当がつく」くらいの地図を用意しましょう。

 軽自動車の届出は、警察によっては実査に行かずにコンピュータのデータベース上で処理する場合があるそうです。
 ですが、そのシステムが時として仇となることがあります。

 今回、とある軽自動車の届出に行ったところ、「ここは2台口ですが、2台とも止まっているのでどちらかを動かさないと処理できませんよ」と言われ、お客様に確認したのです。
 すると、「うちはもともと1台しか入れてない」という返事が。
 話をよく聞いてみると、そこは新興住宅地で住所の地番が全て同じだったことに加え、偶然隣の家が同じ苗字だったというのです。
 実際に見に行ってみると、お客様の駐車スペースには1台しかなく、そして隣の家の車庫には指摘された車が…。

 結局、データベースを修正してもらって無事に届出を終えたのでした。
 偶然とはいえ、実に驚きました。
 実査はお客様に負担をかけることもあるので面倒な部分もあるのですが、こういった事態もありうるだけにやはり必要なのかもしれないと思った出来事でした。

 車庫証明で用いられる地図のうち、必ずつけなければいけないのが配置図。
 これは車庫の敷地内のどこに車を止めるのかを示したもので、敷地内の建物、保管場所の位置と寸法、出入口の位置、そして敷地に面する道路とその幅を記入します。
 これらの項目はある意味、「最低限の条件」です。
 特に手書きで書く場合は警察の方が直接確認しても分かるようにしておかないと、提出の段階で書き直しを命じられてしまうこともあります。

 最近多いのが、道路の書き忘れです。
 特に公道から入り込んだ私道の奥に車庫がある場合などでは、所在図では判別できないことがあります。
 何とか航空写真で確認できればいいですが、それでもダメだと直接見に行くしかありません。
 最初から有料で地図の作成まで依頼をいただいたならそれで問題ないのですが、後日請求できない部分もありまして、非常に困ることがあります。

 地図は最低限、「家の敷地を知らない人がパッと見て、ある程度のレイアウトがつかめる」図を書くのがベストです。
 二度手間になるよりも、ほんの数分でいいので時間をかけていただけるとありがたいです。

東京 警察署管轄一覧

埼玉 警察署管轄一覧