連休直前から世間で騒がれている三菱自動車の燃費データの改ざん問題。
2度にわたるリコール隠ぺい事件から10年以上が経過し、少しずつ持ち直してきたと思われた矢先の事件です。
もはや体質は改善できなかったといえます。
また、燃費データの改ざんは1991年から行っていたということで、結局三菱は何の反省もなかったといわざるを得ません。
裏切られたユーザーの方、そして根気よく三菱ブランドの復活へ頑張ってきたディーラーの方は気の毒としか思えません。
そもそも三菱車は燃費自身がそれほどいいものではありませんでしたが、RV全盛期のパジェロやRVR、デリカなどアウトドア性能に長けたいい車を作っていました。
他にもラリーで培ったノウハウを生かし、ランサーエボリューションという名車を生み出すなど、ひとつのブランドを築き上げてきたのです。
その長所をなぜ生かせなかったのでしょうか。
理由としてはやはりRVブームの終焉後のシフトチェンジを誤ったことがまずは第一に挙げられます。
あまりにもパジェロがヒットし過ぎたため、そこからライトクロカンRVへ移行することをためらっていた傾向があります。
パジェロのミニサイズをいくつか投入しましたが、お客さんにとっては「やはりパジェロ」でしかなかったのです。
その後になり、ようやくアウトランダーを発売したものの、あまりにも時期が遅すぎたといえます。
ランサーエボリューションの生産中止も三菱離れに拍車をかけました。
決して発売台数が多いものではありませんでしたが、パジェロと並び三菱の象徴ともいうべき車種だったのです。
もちろん、この不況の中で自動車の販売台数が落ち込み、その打開策として「エコカー」というものを国内全体で押し出してきたことは「燃費至上主義」の原因でもあります。
家計が厳しくなり、夫の一存で車を買うことができなくなった結果、「維持費を安くするため」という大義名分がなければ妻を説得できなくなってしまったことが、現在の「エコカーブーム」を生み出してしまったのです。
いわば、新車を売るためのメーカー側の事情であったといえるでしょう。
ただご存じのとおり、燃費の実質な数字はカタログ数値の6~7割です。
つまり数キロの違いがあっても、7掛けしてしまうとそれほど大きく変わらなくなってしまうのが現状なのです。
実際に走ってしまうと改ざんしようがしまいがそれほど変わらないということです。
問題はエコカー税制が「燃費(JC08モード)を基準にしてしまってることです。
逆に言えば、税金の問題がなければここまでの問題にならなかったといえます。
三菱の問題は日本の自動車業界に巣くう闇そのものです。
三菱や日産だけを批判すればいいというものではなく、今回の問題がこの国の自動車業界にどんな弊害を与え、また大きな原因は何なのかを徹底的に話し合わなければいけません。
次回も続きます。