知っておきたいポイント集
中古車を探す際、さらに知っておきたいポイントをいくつかご紹介します。
1.修復歴
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中古車である以上、「無傷」ということはまずあり得ません。
最初のオーナーが使ってる中でどうしてもぶつけたり、擦ったりすることもあると思います。
しかし、実際のところ大きなものでない限り走行に支障が出ることはありません。
この「走行に支障が出る」レベルでダメージを受けてしまったものを「修復歴車」といいます。
俗に言われる「事故車」とはこのことを指しますが、「事故車」という表現はあまり正しいものではありません。
「事故車」という言葉を広義にとらえてしまうと、「ぶつけたことのある車」ということになり、「事故車ではない=ぶつけたことがない」という誤解を生んでしまいます。
「事故車ではないと言われたのにドアの交換跡があると指摘されたのはどういうことだ」というクレームが起きてしまうのはこのためです。
自動車屋さんは「事故車=修復歴車」と考え、ユーザーは「事故車=ぶつけたことのある車」と考えてしまうので、双方の理解に差異が生じるのです。
まずは正しい「修復歴」というものを知ってください。
では、修復歴とはどういうものなのか?
簡単に言うと、先に述べたように「自動車の基本性能である、走る・止まる・曲がるを100%発揮できなくなってしまう恐れのあるダメージ」のことです。
自動車の骨格は「モノコック構造」と呼ばれ、シャーシとボディが一体化したものになっています。
そのため、大きなダメージを受けて骨格が歪んでしまうと他の部分にまで影響を及ぼしてしまい、100%のパフォーマンスが出なくなってしまう恐れがあります。
もっと分かりやすく説明しますと、動物でいう「創傷」と「骨折」で考えていただければいいと思います。
ドアやフェンダーなどをぶつけて傷ができても交換したり板金すれば元に戻ります(創傷も治療で元に戻る)が、骨格をやられてしまうと完全には元に戻りません(骨折はくっついたとしても、完全に元には戻らない)。
具体的にはルーフやトランクの下、ピラー(ルーフを支える柱のこと)、エンジンルームの中などが挙げられます。
ちなみに修復歴車は程度があり、「小」「中」は市場に出回っていることがあります。
「小」というのは「修復歴箇所に当たるが、走行にはほとんど支障がない」とされるもので、「ラジエターコアサポート」(冷却機能を司るラジエターを支えている部分)の交換・修正が行われているケースが大半です。
「中」はピラーの修正が多いです。
修復歴ありになっている場合は、必ずメンテシート(修復歴チェックシート)が付いているはずなので、どこを直しているか確認しましょう。
修復歴車はなしのものに比べて大幅に安くなっていることが多いです。
当然リセールは下がるので、長く乗るのであれば狙うのもひとつの手ではあります。
2.未使用車
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中古車を見ている時にもうひとつ気になるのがこれ。
俗に「新古車」といわれているものです。
当年もの(年式が新車と同じ)で走行距離は30km未満、しかも傷もない、まさに新車同様の車です。
もちろん価格も新車より安くなっています。
こういった車は、ディーラーの事情で生まれます。
名義は全てディーラー。
いわゆる「自社登録」と呼ばれています。
通常、これを選ぶ場合は新車との比較がポイントになるわけですが、新車よりも安いからといってすぐ飛びつくというのはやめましょう。
○ 値引きがあまりきかない
○ クリーン税制の恩恵が小さくなることがある
○ オプションが選べない
この辺りがデメリットとして挙げられます。
最終的に新車との価格が5万円を切ってしまうようなら、ほとんど未使用車のメリットはありません。
しかも、小さい車が多いのでもともと差が小さいのも事実。
装備のいい上級グレードを考えてる場合は未使用車を狙うと安くすむことが多いです。
3.試乗車上がり
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メーカー系ディーラーで試乗車として使われていた車が入れ替えで中古車として入庫したものです。
半年~1年落ちが多く、走行距離も5000km未満のものが多く、価格も抑えられているものが大半というのが特徴です。
2.よりもメリットが大きい分だけ狙い目です。
特にフルモデルチェンジやマイナーチェンジ、新型車登場直後に配備された試乗車はスペックが高いものが多いのでお得なことも。
デメリットとしては、初期ロットの場合にリコールなどの不具合が起こる可能性がやや高めなこと、タバコの臭いなどが付着していることなどがあります。
4.ワンオーナー
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中古車情報でよく見かける表記の一つがこれ。
読んで字のごとく、「履歴上のオーナーが1人しかいない」ということです。
現在のように高年式の中古車が多くなかった頃、中古車といえば年数も乗られていてオーナーも数回変わっていることも珍しくありませんでした。
車というのはどうしても「オーナーの乗り癖」というものが付きがちです。
そのため、何度もオーナーが代わってしまうとその乗り癖が酷くなる…ということがあったようです。
今はほとんどこういったことはほとんどありませんが、「酷い乗り癖がついていないので、安心して乗れます」という意味でこの表記は残っています。
2.や3.のような自社登録の車も、「ワンオーナー扱い」となります。
5.記録簿
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基準の項でアフターサービスを挙げた際に少しだけ触れましたが、「記録簿は過信禁物」ということも述べました。
ではどうしてかをご説明します。
これは記録簿そのものを信用するなと言っているわけではありません。
「記録簿があるから安心」という過剰な期待をしてはいけないという意味です。
「記録簿」というのは「メンテナンスノート」そのもののことで、「記載されている内容がどうなっているかは関係ない」からです。
よくある話が「メンテナンスノートはあったが、新車点検しか記録が残っておらず、車検の記録さえ見当たらない」というケース。
ここ最近の車検の記録はメンテナンスノートに直接書き込まず、工場備え付けのワンライティング記録簿に記入してノートに挟み込む(ホチキス止めしてあることも多い)方式を採用しているため、前オーナーが管理を杜撰にしているとその記録がどこかへいってしまっているということもあるのです。
他にも車検しか実施していなくて走行の多い車…というものも稀にあります。
また、ノートにはリコールやサービスキャンペーン(リコールまでもいかないものの、部品の形状が悪かったりしてトラブルを起こしかねないもの)の履歴も記載されるので、専業店で購入して見落としてしまうとトラブルが起きてしまう恐れもあるので注意が必要です。
記録簿は「内容を見てから」、信用できるか判断しましょう。
続いては、車を見に行く際のポイントを挙げていきます。