知っておきたい知識集

複数所有新規

 通称、「セカンドカー割引」と呼ばれているものです。
 被保険者(補償を受ける人)を同一であり、1台目の保険が11等級以上であることが条件ですが、2台目の保険等級が通常6のところを7からスタートできるという割引制度です。
 配偶者の自動車や子供の自動車をこのようにするケースも多く、特に新規となれば運転が未熟ということもあるので1等級上げておいた状態でスタートできるのは負担の面でも安心できます。
 しかも、1台目の保険会社と2台目の保険会社が異なっていても適用可能なのでお得です。

 長期契約について

 保険の期間は通常1年間です。
 ですがここ最近、3~5年の長期契約を用意している保険会社が多く出ています。
 この長期契約、単年契約と比べても保険料は変わりません。
 しかし、この契約には非常に大きなメリットがあります。

 それは、保険期間中に事故を起こしてもこの間は等級ダウンによる割り増しの影響を受けないことです。
 前項でも述べましたが、等級の改定によって事故による割引率の減少が起こりました。
 ただでさえダウンは痛いのに、さらに事故有係数をかけられてさらに保険料が上がってしまうことになります。
 そのダウンのデメリットを大きく緩和できるのがこの契約方法。
 特に1年目に事故を起こしたケースなどではその恩恵を大きく受けることができるでしょう。
 いわば、契約期間中は事故がないものとしての保険料を払うことを契約しているので、その期間は保険料は変わりません。
 満期を迎えて初めてダウンの効果を受けるのですが、例えば3年契約の場合、「1年目にダウンしても2年目3年目は無事故なので等級は上がっている」という処理がされます。
 なので、結果としては継続契約を交わすときは1つダウンした状況でできるうえ、最初の1年しか事故有係数を使わなくていいという結果になります。

 ダイレクト系などは採用していない会社もあるので、保険会社に問い合わせてみましょう。

 デメ等級では引き受けてもらえない?

 5等級以下のデメリット等級になると、保険料は上がりますので保険会社も引き受けてくれそうと思われがちですが、「事故を起こしやすい」とされてしまうので保険会社は引き受けを渋ります。
 特に1等級の場合などは引き受けてもらえないケースもあるのです。
 国内大手なら引き受けてもらえる場合が多いですが、そこで事故を起こしてしまうと翌年は引き受けてもらえないことがほとんどです。

 ちなみに、ダイレクト系はデメ等級なことだけで渋られるので注意が必要です。

 大手?ダイレクト?

 現在、保険会社にも数多くの種類がありますが、大きく分けると2つに分けられます。
 いわゆる「国内大手系」と「ダイレクト系」です。

<国内大手系>
 従来の保険会社のタイプで、個人営業を使って契約を取り、それぞれ担当者がつきます。
 担当者と契約者の人間関係が強く、臨機応変に対応できるのが強み。
 比較的対応が丁寧で、相手方との折衝も誠意を持ってやってくれることが多いことが大きなメリットです。
 逆に人件費がややかかるので、保険料が少し高めです。(ただ、等級が低かったり、走行距離が多い等リスクが高い方に関しては安い場合もあります)

 総合的に見て、事故リスクが高めの方には有利です。
 また、顔が見えるので馴染みの人に色々やってほしいという方にもおススメです。

<ダイレクト系>
 通販型とも言われ、営業は行わずに主にインターネットや電話で募集するタイプです。
 リスクの細分化システムによって、優良ドライバーに対する保険料を抑えられることが最大の売りで国内大手系に比べると20,000円以上差が付くこともあります。
 インターネットでの割引などもあり、「自動車保険料の節約」を謳って急激に増えてきました。
 また、国内保険会社も関連会社としてこれを取り扱うところもあります。

 一方、デメリットとしてはデメリット等級の引受けができない場合があることや、リスクの高い被保険者への保険料が割高になることがあります。
 また、車両保険の使用には工場を指定されてしまうケースもあり、不便を強いられてしまうことも。
 相手方との交渉で揉める確率も大手と比べると高めです。

 保険会社との煩わしい契約に関する話を好まない方や、優良ドライバーで距離も乗らない方などにはおススメです。
 なお、このタイプは約款もインターネットでの閲覧になるので必ずダウンロードして確認だけはしておきましょう。(特にダイレクト系は約款を読んでなかったという理由は通用しないので注意が必要です)

 安易に保険料の値段だけで選ぶことは絶対にやめましょう。
 節約したつもりが補償金が下りなくて、差額の何十倍もの出費が起きてしまう危険もあるからです。
 保険会社と揉めて十分な補償が受けられなくなってしまうと、被害者はその埋め合わせを加入者に請求してくる場合もあります。
 裁判になれば、さらに厳しくなるでしょう。
 その点も考慮して保険会社を選びましょう。

 車両保険の範囲について

 基本補償のひとつ、車両保険には大きく分けて2つのタイプがあります。
 ひとつは「オールリスク(またはフルカバー)」タイプ、そしてもうひとつは「エコノミー」タイプです。
 両者の大きな違いは、「自損事故でも車両保険がおりるかどうか」になります。

 オールリスクタイプはその名の通り、ほぼ全ての車両事故に対応しています。
 自損事故だけでなく、当て逃げで犯人が分からない場合にも適用されるので自分の愛車を守りたいという方には非常にありがたい保険です。
 ただし、これだけの補償をかけるということは、それだけ保険料も高くなります。
 車両の保険料率にもよりますが、特に高額な車両やスポーツカーは全般的に高めになっているので注意しましょう。

 一方、エコノミータイプは車両保険の下りる範囲を限定して保険料の高騰を抑えるタイプです。
 具体的には相手との事故があった場合や天災・盗難などの被害に遭った場合に限られます。(範囲を指定できる保険会社もあります)
 下りるケースと下りないケースがあるので、かけたはいいけど使いどころがなかったという場合が多いことが欠点なので、付帯する際は注意が必要です。

 保険は被害者のためにあるものと考えること

 最後に心構えを記しておきます。
 「保険は誰のためにあるのか」というお話です。

 交通事故というものは、民法上で言うと「不法行為」に当たります。
 つまり、故意(わざと)または過失(ミス)で相手の身体や財産に損害を与えてしまうことで、与えてしまった人はその損害を賠償しなければなりません。(原則は金銭)
 賠償には「治療費」のほかに「逸失利益」(事故に遭っていなければ得られたであろう利益)や「慰謝料」が載ります。
 損害賠償の金額は年々増加しており、20代の男性などが事故によって命を落としてしまった場合は億単位の賠償請求がなされることも珍しくありません。
 ですが、一個人でいきなり1億円以上の賠償金が用意できるような人はそうそういないでしょう。
 保険はそういった時のためにあるものです。

 ここまで書くと、保険は加入者のためにあるものだと思われるのではないでしょうか?
 ですが、実際はそうではありません。
 被害者のためにあるのです。

 任意保険はその名の通り任意ですから、加入義務はありません。
 自賠責のみで乗っているドライバーも少なからずいます。
 では、自賠責のみや無保険のドライバーが事故を起こしてしまったらどうでしょうか。
 加害者がそのまま賠償金を払うかというと、そんなことはまずできません。
 逃げられたり、破産したりすればそこまでです。
 そうすると、被害者が賠償も受けられずに途方に暮れることになるのです。

 保険は被害者のためにあると考えましょう。